未来食堂で学んだこと

店主は、2016年の1月から2017年4月まで、未来食堂でまかないとして飲食店の営業実務を経験させていただきました。
その内容は、多岐にわたり、仕込みから接客、清掃、メニュー決めと材料発注の数量検討など、1年と少しの期間でしたが、内容は非常に濃い関わり方をさせていただきました。
本来であれば、未来食堂のまかないとは!と、その内容を整理すべきでしょうが、実は、まかないとして参加するにあたって、強烈に自分の中で価値観が変わったことは、「飲食店のいろは」的なことではなく、「働くとはなにか」についてでした。

未来食堂のまかないとは?
ホームページには、50分働いたら1食サービスします、と説明があります。

つまり、まかないは、従業員やバイトのように、給料を前提とした雇用形態ではありません。
あくまでも定食1食を対価として50分の労働を未来食堂で行う、というシステムです。

 
では、私は、1食を食べたいが為にまかないをしていたのか?というと、それは違います。
まかない、を通して得られる飲食店の営業実務を学ぶために、早朝から時には閉店時までお店で働いていました。
今日的に表現すれば、超ブラックな働き方です。
しかも無給での労働です。
これは、他の方からみたら「なんてボランティア精神に満ちあふれた人なんだろう!」と評価いただくことにつながります。

実際、まかない中にいくつかのメディアの方が取材に入られることもあり、まかないさんのインタビューとして、私もマイクを向けられたことがありました。

インタビュアー:他にお仕事をしているのに、まかないをしているのですね。食堂でまかないとして働くことは、あなたにとって(お金をもらう仕事よりも)素晴らしいことなんですね!
私:そんなことはありません。どちらが素晴らしい、ということではありません。
インタビュアー:ボランティア精神に満ちあふれているんですね!素晴らしいですね!
私:これはボランティアとしてやっていません。お金をもらわないから素晴らしい、ということではないです。

こういったやりとりのインタビューが実際にあり、今でも笑い話として未来食堂では話されています。

労働の対価としてお金をもらわないから、素晴らしい。というのは、発生している事象を安易に甘い感情の言葉に置き換え過ぎています。
ボランティア精神を発揮してまかないをしているのであれば、未来食堂に対して「奉仕の精神」を私が持っている、ということになりますが、そんな感情も全く持ち合わせていませんでした。

では、なぜ、超ブラックな働き方をしてまでまかないに通い続けたのかといえば、未来食堂でしか、自分の条件の範囲で飲食店修業ができる場所がなかったからに過ぎません。
逆にいえば、未来食堂にはお金に換算できない飲食店としてのいろはを学ぶ価値がある、ということです。
労働すれば、給料をもらう。これは、労働=給料の等価交換です。お金という、交換価値の高いシステムを通すことで、労働の対価価値は決定されています。自給1000円であれば、1000円としての働く価値となります。
けれど、そのシステムを通さないことで、労働の価値は、私個人にとっては無限大となります。
これは、一見すると労働者側に不利な条件のように見えますが、実は、お店側に厳しい要件を課すことになります。労働者にとって、無限大の価値を与えない限り、まかないをする人は集まらない、ということです。
しかも、まかない希望者のニーズは多岐に渡ります。一度やってみたいという方から、飲食店開業希望者や飲食店経験者まで多様な働き方を求めてお店にやってきます。
これは、大変なシステムだな。と、働き始めて2〜3ヶ月ほど経った頃に気付くことになります。お金に換えられない価値を生み出し続ける。これがまかないの真髄と、私は解釈しています。

働くとはなにか?お金とはなにか?働きながら学ぶとはなにか?
まかないを通して考え続けていたことは、実はそんなことばかりです。

ひので食堂でもまかないを採り入れています。
どんな価値をお互いに生み出していくことができるのか?
お金に換えられない価値を生み出す。
すべてはこれからですね。

長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。
みなさまにお会いできることを楽しみにしております。

店主

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